GOODSMILE RACING & TeamUKYO RACE REPORT 4
2020 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE
会期:2020年09月12日~13日
場所:ツインリンクもてぎ(栃木県)
天候:晴
観客:無観客
予選:18位
決勝:9位
獲得ポイント:2P
シリーズ順位:15位(7P)
<Sat.>
■FreePractice_QF1-2
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響により開幕が7月に遅れた2020年シーズンも、早くも折り返しの4戦目。今シーズンは、レース関係者ができるだけ自動車のみで移動を完結させる事ができるよう、富士、鈴鹿、もてぎの3つのサーキットに開催地が限定されていたが、富士、鈴鹿でのレースを終え、第4戦は最後の会場となるツインリンクもてぎで9月12~13日に開催された。
例年のもてぎ戦は、シリーズ最終戦として気温の低い11月に開催され、ノーウエイトでの決戦が恒例となっていたが、今季は2008年以来12年ぶりの9月開催に加えて、各車成績なりのウエイトハンデ(WH)を搭載する。レース距離も250kmから300kmに伸ばされ、誰にとっても参考データのない未知の勝負が待ち受ける。
開幕戦と第3戦では、予選Q1落ちと苦しいスタートポジションながら、なんとかシングルフィニッシュをもぎ取る粘り強い戦いを続けてきたGOODSMILE RACING & Team UKYOの谷口信輝選手と片岡龍也選手。ストップ・アンド・ゴーの特性を持つこのもてぎは、片岡選手は『もておか(『もて』ぎが得意なかた『おか』)』の異名を取るほど得意としており、Mercedes-AMG GT3も相性が良いとされているサーキットだ。
これまでの苦戦の結果、ライバルに比べて軽めの15kgのWHを載せた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、前戦に対して2020年型Mercedes-AMG GT3のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)ウエイトがわずかに軽減され、+55kgから+40kgと15kgの軽量化に。
このように巻き返しが期待される条件の中、チームは反撃の狼煙を上げるべく、土曜10時からの公式練習に挑んだ。
天気予報どおり、不安定な空模様のなか霧雨舞うコースに飛び出して行った片岡選手だが、スリックタイヤを装着してコースインした直後にトラック上の雨量が増したため、すぐさまウエットタイヤにチェンジ。気温27度、路面温度30度ながら、湿度が86%というダンプコンディションの中で、持ち込んだタイヤの評価とセットアップを進めていく。
GT500のコースオフによる赤旗中断を挟んで、雨量が減ったと判断したチームは再びスリックタイヤに履き替えて片岡選手を送り出すと、セッション開始45分経過時点で1分50秒台を連発して一時2番手に浮上するなど、トップ5圏内でラップを重ねていく。
さらにレコードラインが乾いた11時頃には、1分49秒123のベストタイムを記録。続くセットでもわずか0.001秒差の1分49秒124をマークする精密なドライブを披露して、谷口選手へとバトンタッチする。
GT300クラス専有走行に向けトラック上に出た4号車グッドスマイル 初音ミク AMGと谷口選手も、1分50秒フラットのタイムを並べて片岡選手のセットアップと路面状況を確認。最終的に1分49秒807を記録して、難しいコンディションながら全体で35ラップを走破し、首位から0.614秒差の8番手で公式練習を終えた。
14時30分開始の予選Q1は今回も成績順による組み分け方式が採用され、GSRは今季初のQ1B組での出走に。A組時点ではかろうじてドライ路面が残っていたが、14時48分からB組がコースインする頃には再び雨量が増加し、スリックタイヤで走り出した4号車グッドスマイル 初音ミク AMGのQ1担当片岡選手も判断を悩む状況に。
そんななか、アウトラップだった2号車(シンティアム・アップル・ロータス)が5コーナートンネル先の130Rでコースオフを喫し赤旗中断となると、そのリスタートでレインタイヤに履き替えた片岡選手は急ぎコースへ。残り8分と短くなったセッションでウエットパターンの刻まれたタイヤになんとか熱入れを進めると、1分56秒030のタイムを計時してこの時点で3番手に。
これでアタックを切り上げた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGに対し、セッション残り2分から各車がタイムを更新し、4号車はチェッカーと同時にカットラインとなる8番手から9番手に陥落してセッションが終了。今シーズン3度目となるQ1落ちとなり、Q1A組との総合結果により翌日の決勝レースは18番グリッドからスタートすることとなった。
<Sun.>
■Race
日曜は夜中に降雨があったが、朝から快晴。濡れていたトラックも午前11時40分からの決勝前ウォームアップ走行までにはドライコンディションになっていた。片岡選手はレースを睨んだ最終セットアップの確認作業に追われ、20分間のウォームアップセッションで10周をこなした。このセッションで現状の最適バランスを見つけたGSRチームと片岡選手は、1分50秒358の3番手タイムに手応えを得て、午後1時からの63周300kmの決勝に臨んだ。
午後に入って雲が出たが雨には至らず、気温27度、路面温度34度のドライコンディションで決勝レースがスタートした。
前半スティント担当の片岡選手はオープニングラップからコースオフで脱落したマシンや、目の前にいた18号車(UPGARAGE NSX GT3)をかわすと、続く2周目ではコース全周にわたる駆け引きを経て、最終コーナー立ち上がりで60号車(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)も仕留めて15番手へと浮上する。
続いて8周目には35号車(arto RC F GT3)もオーバーテイクし、勢いそのままにさらなる上位を目指す。その矢先、前方でGT500車両と接触した87号車(T-DASH ランボルギーニ GT3)がコントロールを失い、コース上でGT500車両を巻き込む大クラッシュを起こし、セーフティカー(SC)が導入された。
車両回収とデブリ除去後、13周目にSC解除のリスタートが切られると、16周目には34号車(Modulo KENWOOD NSX GT3)を、18周目には244号車(たかのこの湯 RC F GT3)を立て続けに抜き去るなど、片岡選手が怒涛のオーバーテイクショーを見せる。
これでトップ10圏内が見えてきた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、その後も前を行く65号車(LEON PYRAMID AMG)に対しラップごとにコンマ5秒ずつギャップを削り取る力強いレースペースを見せ、同じ20年型メルセデスに対し秒差圏内まで迫った。21周目にはアンダーカットを狙い、片岡選手はスタートから7つもポジションを上げて早めのピットへと飛び込んでくる。
24番手でコース復帰した谷口選手は、上位勢のルーティンを経て周囲のポジションが移り変わるなかで、27周目に再び244号車をパスするも、前半スティントの手応えから別コンパウンドのタイヤを選択したことが裏目に出る形に。
「天候の影響もあって充分データのないタイヤを嵌めたんですが、出て行ったところからリヤがズルズルで。もう『全然無理なんですけど』と泣き言が出る様な状態」ながら、谷口選手は持ち前のスライドコントロールでなんとか踏みとどまると、37周目に31号車(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)を、続く38周目に52号車(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)をと、いずれもブリヂストンタイヤを装着する今季好調のJAF-GT勢をパスして、11番手までカムバックする意地のドライビングを披露する。
するとGT500クラスのバトルでレコードライン上にパーツが落下し、この回収でこの日2度目のSC導入が宣言され、トップ10圏内とのギャップが一気に縮まる状況が生まれる。
前日から期待を掛けていたタイヤセットはスティント序盤から変わらずの「オーバーステア(谷口選手)」だったが、47周目にレースが再開されると一旦は背後にいた56号車(リアライズ 日産自動車大学校 GT-R)に道を譲りはしたものの、その後は安定して1分52秒台のラップを並べて前を追走。
すると56周目には2番手走行中だったポールシッターの360号車(RUNUP RIVAUX GT-R)が、さらにファイナルラップの最終コーナーでは9号車(PACIFIC NAC D’station Vantage GT3)がまさかのガス欠でマシンを止め、4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは10位でチェッカーを受ける劇的な結末に。
さらにレース後には6位フィニッシュと見られた56号車にピット作業違反のペナルティ裁定が下り、レースタイム30秒加算となったことから、4号車は9位が正式結果に。前戦同様、苦しい予選ポジションからのレースを強いられながら、抜けないサーキットで再びシングルポジションまで挽回し、貴重な2ポイントを持ち帰ることとなった。
■チーム関係者コメント
今回のレース展開なら「イケる」と思ったんですけどね……。仮に週末がドライでも気温としては持ち込んだタイヤのレンジに合っていて、レース1(前半スティント)のタイヤはセットが決まっていたこともあって非常に感触が良かったんですけどね。ただ、無交換タイヤが必要なんですね、やっぱり……。目の前の65号車に追いついたので早めに入ったんですが、なんで1位と9位の差があるんだ、って話で(涙)。後半のタイヤもちょっと合わなかった。それが一番期待していたタイヤだったんですが、そこも想定外でしょうね。シーズン後半戦は気温も違うでしょうし、本当に仕切り直しでそろそろハマる日が来ると信じたいです。
予選も決勝も、自分で自分たちの首を締めちゃって、ちょっと『ライトチョイス(正しい選択)』が出来なかった。公式練習の段階から路面も「どっちかな」という状況で、僕らも迷いが生じちゃう様なパターンで、そこで悪循環に入ってしまった感じ。予選Q1では周囲も熱が入らなかったりで苦しんでいましたが、もしドライ(タイヤ)のままだったら(通過は)全然問題なかったと思う。そういう部分ですよね。ウォームアップの時点で普通にセッティングもスタンダードなものにしたら、それがすごい良くて、ただ後半で選んだタイヤがね。結果的には「前半と同じヤツを選んでおければな~」と。ギャンブルはすべきじゃないな、というのが今回の反省です。
今回は天候のせいもあってタイヤ選びも微妙なまま。公式練習の感触をもとに後半スティントのタイヤを選択したんですが、もう走り出しからオーバーステアで厳しい状況で。今回はライバル陣営でも持ち込みタイヤを外している傾向があったし、我々的にはチャンスだったはず。100%出し尽くして敵わなかったなら仕方ないですが、レースが終わった後に「ああすれば、こうすれば」の手が残ってることは残念。不幸中の幸いなのか、幸中の不幸なのか、僕らは今回も痩せたまま終わった。皆んなは順調に太っていってるんで、毎回言ってますが、次こそはいい結果で終わりたい。皆さんも悔しいでしょうけど、僕の方がもっと悔しいです。
予選で雨に翻弄され下位に沈んでしまって。もてぎというコース特性上、18番手からだとかなり厳しいな、と。予選でウエットを履かなきゃいけなかったところも、今の我々の弱さの部分でもある。レースに関しては思いのほかペースが良く、抜けないもてぎでポジションアップには成功していたんですが、セカンドスティントに向けて昨日の練習走行の段階でフィーリングの良かったものを導入して、僕のスティントとは違うタイヤにしたら結果的には裏目に……。ピットインする時点で目の前にいたクルマが優勝してますから、そこがすべてですね。無交換で同じタイムで走っちゃうんだから、勝負にならない。やっぱり実力が絶対的にないのがツラいですね。