2025 Intercontinental GT Challenge 第4戦 第49回 SUZUKA 1000km
会期:2025年09月12日(金)ー14日(日)
場所:鈴鹿サーキット(三重県)
観客:予選9,000人:決勝15,000人
予選:24位
決勝:16位
鈴鹿サーキットの夏の伝統レース「鈴鹿1000km」が6年ぶりに復活した。2006年から2017年まではSUPER GTシリーズに組み込まれていたが、2018年と2019年はインターコンチネンタルGTチャレンジ(IGTC)の一戦「鈴鹿10時間耐久レース」として開催。2020年以降は新型コロナウイルスの影響で中止が続いていたが、2025年、IGTC第4戦として復活を遂げた。なお、大会名は「1000km」だが、今回は1000km相当の6時間30分の時間制レースとして行われる。
今大会には世界中から9車種全33台のマシンがエントリーし、そのうちグッドスマイルレーシングがエントリーするプロクラスには11台が名を連ねた。
参戦体制は、6月のスパ24時間レースと同じく谷口信輝選手、片岡龍也選手、小林可夢偉選手の3名で、監督は片山右京氏が就く。
参戦マシンはSUPER GTで使用している車両そのものを使用するが、このレースの為にスパ24時間参戦マシンと同じデザインでラッピングを施した。
このレースのルールは、1スティント上限65分(直前にFCYやSCが発生した場合は70分)、1人のドライバーの最大乗車時間は195分と定められており、レース全体を6〜7スティントで走行することが想定される。
また1回のピットストップは、給油を伴う場合にはピットロード入口から出口までに78秒以上とされ、給油を伴わない場合は制限されない。
トラックリミットは6回で30秒のタイムペネルティ、13回以上でドライブスルーペナルティが課される。
タイヤはピレリのワンメイクでタイヤウォーマーの使用は禁止され、使用可能な本数はペイドテストセッションでドライ2セット、ウェット1セット。ナイトセッション以降の公式セッションでドライ10セット、ウェット6セット。
FIA-GT3のマシンは基本的に純正パーツのみ使用可能だが、00号車はSUPER GT同様にホイールメーカーが純正同等のパーツであるという証明書で申請をおこない、今大会もSUPER GT同様にエンケイ製のホイールを装着して走行した。
9月12日(金)【練習走行】
金曜日には2回の「ペイドテストセッション」と、公式セッションとなる「ナイトセッション」が行われた。
午前9時40分、今大会最初の走行となる1時間のペイドテストがスタートした。00号車は片岡選手がステアリングを握りコースイン。セッション開始前まで降っていた雨の影響でウェットタイヤでの走行開始となったが、気温が高かったため路面はすぐに乾いていった。
8月のSUPER GT鈴鹿大会での好走から期待を持って臨んだものの、持ち込みセッティングで走り出したマシンの挙動はイメージとは大きく異なる強いオーバーステア状態で、上位陣から3秒程度遅いペースとなった。
この挙動を改善するため、何度もピットインしてバランス変更を重ねつつ、可夢偉選手、谷口選手へと交代しながら周回を重ねるが、セッション終了までマシンは期待した走りを見せられる状態にならず、このセッションの結果は26番手タイムに終わった。
午後0時からの2回目のペイドテストセッションは、前セッションでのドライバーからのフィードバックを元にセッティングを変更して臨んだ。セッション開始直前に再び雨が降り始めた為、この回もウェットタイヤで片岡選手がコースインしたが雨はすぐに止んだ。路面が乾いていく中でセッティング変更したマシンの確認を進めるが、オーバーステアは改善できていなかった。片岡選手は6周を走行して可夢偉選手に交代。可夢偉選手は7周回走行すると、再び片岡選手にステアリングを戻し、片岡選手が5周を走行してセッションを終えた。このセッションでのベストタイムは、トップと約2秒差の16番手となった。
この状況を受け、17時45分からのナイトセッションはさらに大幅なセット変更を実施して臨んだ。ナイトセッションは谷口選手、可夢偉選手、片岡選手の順で走行し、決勝レースのチェッカー予定時刻と同じ時間帯でのコース状況や灯火類のチェックも行った。
しかし最も肝心なマシンバランスは依然として改善できず、タイムは33台中27番手という結果に終わった。
全てのセッションが終了した後、ドライバーからのフィードバックと各種のデータを元に、メカニックチームは各部の確認とセッティングの見直しを夜更けまで行った。
9月13日【予選】
インターコンチネンタルGTチャレンジの予選は、予備予選、Q1、Q2、Q3で構成される。予備予選で記録されたタイムは、悪天候等の影響でQ1以降が実施できなかった場合に予選結果として採用されるルールだ。通常の予選では、Q1、Q2、Q3を各ドライバーが走行し、その平均タイムで決勝グリッドが決定する。
午前10時45分、予備予選セッションスタート。序盤、00号車は前日のナイトセッションで使用したタイヤを装着し、可夢偉選手が走行。新しいセットアップでバランスを確認した。次に片岡選手がニュータイヤで走行し、前日との違いを確認しながら周回を重ねるが感触は良くない。
セッション残り30分となったところで谷口選手が乗り込む準備を始めたが、ここでコースに雨が落ち始めた。雨脚はすぐに強くなった為、谷口選手はピットで天候が良くなるのを待ったが、セッションが残り10分になったところでウェットタイヤを装着してコースイン、そのままチェッカーまで走行した。
前日の走り出しから出ているオーバーステア傾向をチームはここまでに改善することができず、予備予選の結果は28番手となった。チームは夕方の予選に向けて更にセッティングを調整した。
午後5時5分、予選Q1スタート。
今大会の予選では、Q1からQ3までマシンをピットに戻してはならないというルールのため、Q1から3セッション分の燃料を搭載し、ドライバー交代もピットロードで行う。
Q1を担当する谷口選手はセッション開始後すぐにコースイン。タイヤの熱入れをしつつ前車とのギャップを調整してアタックしやすいスペース作りを試みるが、参加チーム33台のマシンが一斉にコースに出ている為、クリアラップを作るのは困難だ。谷口選手は3周のウォームアップの後、4周目にアタック、2分2秒897を記録してその時点で15番手となった。その後もアタックを続けるがタイム更新はならず、ライバルのタイムアップによって17番手まで順位を落としてセッションを終えた。
午後5時27分、Q2スタート。このセッションのドライバーは片岡選手。
片岡選手もセッション開始後すぐにコースインしてウォームアップを進める。片岡選手は計測3周目に2分2秒118を記録すると、続く周もアタックを継続、セクター1で自己ベストを更新した。しかしその直後、28号車がシケインでクラッシュしたため赤旗中断となり、タイム更新は実現しなかった。
クラッシュ車両回収後、残り3分10秒でセッションは再開されたが、既にタイヤのグリップのピークが過ぎていたためチームはこれ以上のアタック継続は諦めた。しかし片岡選手は燃料を消費する為にコースイン、Q3を少しでも軽い状態で走行できるようにしてセッションを終えた。
赤旗の影響でQ3の開始時間は午後6時12分に変更されていた。
Q3を担当する可夢偉選手はセッション開始と共にコースインし、ウォームアップ走行で先頭を走行、ハイスピードでタイヤを温めると計測2周目に2分01秒361を記録した。しかし、ライバル勢がアタックを始めた直後、18号車がストップして再び赤旗が掲示され、セッションは中断となる。残り7分23秒で再開されると、小林選手はアタックしやすい場所に出る為にピットで待機。しかし残り時間が無い中、再びウォームアップをしつつアタックに良い場所を確保するのは困難な為、可夢偉選手は再アタック断念を判断する。しかしその直後、今度は7号車が停止して3度目の赤旗が出されてセッションストップ。十分なアタックができていないマシンがまだ何台も残る中、残り3分13秒でセッションが再開されると、アタックできていなかったマシンが一斉にコースへ向かった。
Q3の結果、可夢偉選手は計測2周目のタイムがベストラップとなり12番手となった。そして各セッションのベストラップの平均が出され総合順位が発表されると、00号車のチームタイムは2分02秒125で14番手となった。
しかしこれで終わりとはならなかった。
予選終了後、00号車を含む8チームに対し、Q2の赤旗提示時に速やかに減速しなかったとしてペナルティが課された。この結果、片岡選手がQ2で記録したベストタイムが抹消され、セカンドベストの2分06秒994が採用される事となり、これによってチームタイムは2分03秒750となり、24番手に後退してしまった。
このペナルティが発行された8チームはIGTCのシリーズエントリーをしていない日本チームが大半で、ルールに不慣れなチームが一斉にペナルティを受けた形になった。
9月14日【決勝】
鈴鹿サーキットは朝から快晴で、強い日差しと高い湿度で9月中旬にも関わらず真夏のコンディションとなった。
午後0時50分、気温34℃、路面温度36℃のコンディションの中で決勝レースがスタートした。1周のフォーメーションラップの後、33台のマシンが6時間30分先のゴールを目指してバトルを開始する。
前日のペナルティで24番手スタートに降格となっていた00号車は、片岡選手がスタートを担当した。スタート直後のオーバーテイクは片岡選手の得意技だが、この日はいつにも増して抜群のスタートが決まり、オープニングラップで一気に16番手までポジションを上げた。さらに2周目のヘアピンと130Rでもオーバーテイクを決め、14番手まで浮上する。
この後、00号車は前の555号車と後ろの30号車とのバトルを繰り広げながら周回を重ねるが、なかなか仕掛けることができないでいた。すると逆に17周目に2台に抜かれ16番手に後退した。
27周目、早いチームが最初のピットインを開始すると、00号車も29周を走ってピットへ。給油とタイヤ交換のみを行い、片岡選手のまま17番手でコースへ復帰した。
37周目に順位を1つ落としたが、38周目と39周目にそれぞれオーバーテイクを決めて16番手に浮上する。この時1つ前の15番手を走る30号車とは約8秒のギャップがあったが、周を追うごとにこのギャップを縮め、57周目には0.4秒差まで迫った。
58周目、その30号車がピットインして14番手に上がる。
60周目、片岡選手は2度目のピットに向かい、谷口選手へと交代した。
61周目、全車が2回目のピット作業を終えた時点で、00号車は16番手。
69周目、60号車のクラッシュでFCYが掲示されるとともに15番手に上がる。そして、70周目にそれが解除されると、今度は555号車をオーバーテイクし14番手にポジションアップ。
しかし72周目、75号車に抜かれてしまい15番手にポジションダウン。その後もFCYや他車のピットインにより順位が目まぐるしく変動していく。
89周目、9号車がシケインで止まるが、すぐにはFCYは出されず、レースが続いた。
00号車にのる谷口選手は、ドライバーの1回の連続乗車時間制限が近づいたため、このタイミングで一度ピットに戻り給油とタイヤ交換を実施。
そして91周目、全車3回目のピットを終えたタイミングでFCYが出された。このFCYの間に、乗車時間をリセットする目的で再度ピットインするチームが相次ぎ、00号車もこれに合わせて92周目にピットへ向かった。94周目にはFCYはSC(セーフティカー)に切り替わり、97周目にレースが再開。この再開直後、00号車は立て続けにオーバーテイクを許し16番手まで後退する。
さらに105周目の130Rで周回遅れのマシンに追突され、コースオフ。この隙に18号車にかわされ17番手となってしまった。
谷口選手は111周を走行したところでピットへ向かい、可夢偉選手に交代した。
118周目、555号車が130RでクラッシュしたことによりSCが導入されると、チームは可夢偉選手をピットに戻し、乗車時間をリセットした。
126周目にレースが再開されると、2.1秒前を行く75号車を追う。この時点で12番手から17番手の00号車までが同一周回となっていた。
146周目に7回目のピット作業を行い、タイヤ交換と給油を済ませる。レース残り時間は50分を切っており、これがラストスティントとなる。小林選手は16番手で前を走る500号車を追い、すぐにテールトゥノーズ状態となるが、何度勝負を仕掛けても抜くことができず時間が過ぎていく。
午後7時20分、レース時間が6時間30分を超え、ファイナルラップに突入。この最後のラップ、ここまでバトルをしていた前を行く500号車と2コーナーで接触してしまう。500号車はスピンから立て直して走行を続けたが、00号車は左フロントの足回りにダメージを負い、まっすぐ走れない状態に陥った。それでもスロー走行で1周を走り切り、ホームストレートに戻って16位でチェッカーを受けた。
ゴールと同時に夏の鈴鹿名物とも言える花火が1コーナー内側で打ち上げられ、長いレースを締めくくった。
■チーム関係者コメント

今回はなんとか最後まで耐えたんで、走りきれてよかったなと思ってます。
しかし、何に原因があるのか分かりませんが、車はうまくセットできていない状況でした。セッティングの数字と車の挙動が違うという状態が週末通して続いて、最後まで解消できなかった為、ドライバーにはちょっとしんどい車で走らせるにことになってしまいました。彼らには申し訳なかったなと思います。
原因がはっきりするまでガレージで車をしっかり見直して、原因を潰します。さらにこのレースのルールとピレリタイヤに慣れていくことも、いつもと違うこのレースを戦う上で、さらに深刻にやっていかないといけないなと思っています。
マシンの状態とリザルトは決して満足なものではありませんが、今回のレースは色々な点で学びがあったので、ひとまず良いかなと思ってます。
応援ありがとうございました。

今大会では色々勉強することがたくさんありました。
普段戦っているSUPER GTとは、まずタイヤが違って、スパも同じでしたけどタイヤの特性の理解から始めないといけない。さらにドライバーが一人増えると作戦とかルーティーンとかも違い、夜間の走行もある。面白いけど大変なことも多くて、何回も参加しているのに毎回チームが何を準備しなければいけないのかという確認から始まってしまう。
特に今回は予選でのペナルティや決勝レースのピット作業でミスがあったりとしたので、しっかりとデブリーフィングをして、細かいことを積み重ねて、今後に活かす為にちゃんとドキュメント化して、共通でこれをちゃんと持ってなきゃダメだと反省しました。
今回は良い勉強になりましたって言ったら怒られるけど、チームとしてみんなでまとめておこうと思います。
今シーズンのSUPET GTはチャンピオンシップ争いをしてるから、今回駄目だったところはちゃんと反省して、このレースを糧にしていこうと思います。

今回のレースも最近ちょっと続いてるトラブルから始まって、その対応に追われて、予定していたメニュー通りにいかない流れになってしまいました。
走り出しからバランスがおかしいおかしいというところから始まって、予選や決勝に対して万全のセットアップのもとライバルと戦いに行くぜって感じではなく、蓋を開けてみないと分からない状態で決勝に臨む感じになってしまったのが残念でした。
予選も一瞬14位かと思ったらペナルティがあり24位になってしまい…レース自体は片岡が1周目に10台抜きくらいしてきて、元の順位に戻ったぜなんて思ったんですけど、やはり我々の車の苦しいフィーリングは残ってる。少しは改善されたけどまだ残ってるような状態で戦いました。
我々ドライバーは今現状でできる範囲のことをやるしかないというところだったんですが、チーム全体としてまだまだ取りこぼしたところが一杯あるなと。そういうのがなければ、レースは違う展開になっていたところもあったと思うので、非常に歯がゆいですが、これが現状の我々の力ということを認めて、力を合わせて改善していきたいと思います。

予選のペナルティで下がってしまったポジションは、とりあえずスタートで14番手まで戻したので、なんとなくは取り戻したかなスタートでした。そこ自体は楽しかったし、よかったんですけど、結局は走り出しから悩んだ車のバランスの問題は、決勝でも改善されていなかったので、連続で行った2スティントも苦しかったし、最初のピットで作業ミスもあったりして…。
ピットインでタイヤを交換しても車のペースがなかったから、今週通して車のバランスの改善ができなかったことが一番と、このレースフォーマットに対しての理解度とか慣熟が甘かったなと思っています。結局ずっと今一つのままレースを進めることになってしまって、色々期待していた分、ちょっと残念だったなっていう思いが強いです。
それでも、最後にアクシデントも発生したけどなんとかぎりぎり完走して、最低限の目標は達成しました。しかし、車がだいぶボロボロになっちゃったんで、来週のSUPER GT SUGOまでにはしっかり直して、今週のこのうっぷんも晴らしたいなと思います。

まず鈴鹿1000km、たくさん応援ありがとうございました。
鈴鹿10HぶりにGSRと日本で走ることができてよかったのですが、結果は思ったようなものにならなかったので残念です。
今回はチーム一丸となって、なんとか苦しい状況の中、ちょっとでも前に行こうと頑張ったんですけど、それでも16位ということで、まだまだしっかりやれてないことがたくさんあったんだなという印象です。
とは言え、チームのみんなで完走できたことは良かったと思うし、またチャンスがあれば、ぜひ出たいと思います。





