GOODSMILE RACING & TeamUKYO RACE REPORT 5
2021 AUTOBACS SUPER GT Round5 SUGO GT 300km RACE
会期:2021年09月11日~12日
場所:スポーツランドSUGO(宮城県)
観客:発表なし
予選:7位
決勝:23位
獲得ポイント:0pt
シリーズ順位:11位(20pt)
2021年シーズンの折り返しとなるSUPER GT第5戦がスポーツランドSUGOで開催された。昨年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で開催されなかった為、2年ぶりの開催となった。ハイダウンフォースのMercedes-AMG GT3とは相性の良いコースと言われており、GOODSMILE RACING & TeamUKYOは、ここSUGOで2018年に3位、2019年は2位表彰台を獲得している。前戦鈴鹿での3位に続き、連続ポディウム獲得が期待される1戦となった。
今回のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)は、コース特性に合わせてウエイト35kgと今シーズン最も軽く、マシン総重量は1320kgに。しかし成績によって搭載されるサクセスウエイト(=SW/旧称ウエイトハンデ)は、今シーズンはポイント×3kgとなっており、合計60kgのウエイト積載が課されていた。
【9月11日(土)】公式練習、公式予選
天候:曇り
コース:ドライ
気温/路面温度 GT300:Q1開始時24℃/27℃、Q2開始時24℃/27℃、終了時24℃/27℃
土曜午前9時20分の公式練習開始時点で、コース上は気温21℃、路面温度23℃と、秋到来を感じさせる気候の中でのスタートとなった。今回も片岡選手が走り出しを担当しショートランを繰り返していく。7月に行われた第4戦ツインリンクもてぎから投入されたヨコハマタイヤの新スペックに合わせてセッティングを進化させてきた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、セッションを通じて常にトップ10圏内で走行を重ねた。途中、赤旗中断やFCY(フルコースイエロー)のキャリブレーションを挟みつつ、27周目に1分18秒854の自己ベストを記録して、谷口選手へとスイッチした。
谷口選手は計測開始直後、まずは1分19秒703の自己ベストを記録すると、すぐにピットに戻ってニュータイヤに履き替え、その後は1分20~22秒台のレースペースの確認に入った。GT300の占有時間も谷口選手が走り、さらにセッティングを詰めていった。
セッションは終了間際に他車のアクシデントにより2度目の赤旗となり、そのまま終了となった。
公式練習は片岡選手の記録した1分18秒854がベストタイムで、クラス5番手という好結果となった。片岡選手は「セットアップが鈴鹿からさらにアップデートされて、60kgを積んでる割には、FIA GT3の中でも結構頑張れている」と手ごたえを感じていた。
公式練習後、20分間のFCYテストが行われ、片岡選手がステアリングを握り、FCYシステムの確認と共に午後の公式予選へ向けて最後のセッティング確認をおこなった。
しかし、ここで不穏な事態が発生する。セッション5周目に左フロントタイヤにパンクが発生し、自力でピットまで戻れたものの、そのまま走行を終えることになったのだ。幸い車両へのダメージはフロアが削れた程度で深刻ではなかったものの、チームはタイヤへの不安を抱えることになった。
午後の予選は今回も組み分けでQ1A組で出走することになっていた。片岡選手がQ1、谷口選手はQ2を担当する。
14時30分。気温24℃、路面温度27℃と、事前想定より低い温度域。公式練習でのアクシデントにより14台中2台が不出走となったA組予選がスタートする。片岡選手はじっくりとウォームアップを進め、最初のアタックで1分18秒563を記録し、コントロールライン通過時点で暫定2番手に立つ。その後1つ順位を落とすも、セッション終了時点で3番手と、余裕でQ1を突破した。
15時23分。A組B組それぞれのQ1通過車両合計16台での勝負となるQ2。谷口選手は最初のアタックで1分18秒279を記録し、その時点で全体3番手に。連続アタックするも、タイム更新はならず、最終的に7番手で予選を終えた。決勝は7番グリッドからのスタートとなった。
【9月12日(日)】決勝
天候:晴
コース:ドライ
気温/路面温度 スタート前(13:00):29度/46度>スタート(13:30):29度/45度>中盤(14:30):27度/42度>終盤(15:00):27度/41度>終了(15:36):26度/38度
早朝から秋晴れが広がる。日差しは強く、気温はみるみる上昇していた。12時10分開始のウォームアップ走行の時点で気温28度、路面温度は48℃まで上昇。決勝スタート担当の片岡選手は、この20分間で前日とは異なる路面条件に合わせたアジャストの作業を進めた。
13時30分、フォーメーションラップスタート。予定されていた2周のフォーメーションラップは車両の間隔が広がり過ぎたために1周追加され、これにより84周の決勝レースは83周に減算されてスタートした。
オープニングラップ、片岡選手は87号車(グランシード ランボルギーニ GT3)を4コーナーでパスし、6番手でホームストレートに帰ってきた。しかし前方には第4戦もてぎ、第3戦鈴鹿の時と同じく、もう1台のランボルギーニ、88号車(JLOC ランボルギーニ GT3)が立ちはだかっていた。前戦を再現するかのごとく、またもやラップペースを押さえられている間に先頭集団がジリジリと遠ざかっていく。
25周目、トップから離され過ぎないうちにこの膠着状態を打破する為、チームは上位勢では先陣を切って片岡選手をピットへと呼び戻した。事前に用意していたいくつかの作戦からタイヤ4本交換のフルサービスを選択、谷口選手をコースに送り出すと、別の位置でラップタイムを上げて走り、アンダーカットを狙う。
暫定24番手でコース復帰を果たした谷口選手は、アウトラップの60号車(SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT)を28周目にオーバーテイクし、その後もペースを緩めず追撃を続ける。ライバル勢のルーティンピットインやコース上での5号車(マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号)との勝負もこなしながら、30周目以降1分21秒台の好ペースを叩き続ける。
36周目には1分20秒071のファステストを記録し、40周を過ぎても21秒台を並べた4号車は、この時点で実質3番手、表彰台圏内にまで浮上していた。
しかし43周目を過ぎたところで、GT500クラスの車両が最終コーナーイン側で炎上するアクシデントが発生。レースコントロールはFCYではなく、すぐさまセーフティカー(SC)の導入を宣言する。
ホームストレート上でクラス別の隊列整理を経て、51周目にリスタートが切られると、54周目には全車のルーティンピットが済み、計時モニター上でもポールシッターの61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)、2番手の55号車(ARTA NSX GT3)に次ぐ3番手と、いよいよ連続表彰台が現実味を帯びてきた。
しかし、続くラップにまさかの事態が待ち受ける。
「多分、1コーナーのブレーキングじゃないかと思うけど、2コーナーから4コーナーを抜けてるうちにだんだん空気が抜けていって、シケインを過ぎたらワーニングが灯いて。もうハイポイントコーナーに来たところでは『ああ、曲がらない』」(谷口選手)
前日のFCY練習セッションで起きた左フロントタイヤパンクが再び起きてしまったのだ。
なんとかピットまで戻ってタイヤ交換を終えトラック復帰するも、26番手までポジションを落としてしまう。気を取り直してトップと変わらないハイペースで走行する谷口選手は徐々に順位を取り戻していくが、残り周回数も少なく、最終的にトップから2ラップ遅れの76周目、23位でチェッカーを受けた。
ポイントランキング上位勢に迫りながら、シーズン折り返しでまさかのノーポイントを喫し、ランキングを11位まで落としてしまったGOODSMILE RACING & TeamUKYO。残るレースは3つと挽回のチャンスは少ない。次戦10月のオートポリスでの逆襲を期待したい。
■チーム関係者コメント
惜しかったし、残念ですね。(パンクする直前まで)連続表彰台は『ほぼ確』だったと思います。ちょっと優勝までは厳しかったけれど、3位11点が欲しかったですね……。ミニマムのピットタイミングも悪くなかったし、アンダーカットも上手くいったし、ピット作業も全体としては良かったですし、左リヤなんてとても早かった。今回はより精度の高いセッティングを、ということで普段は触ってないところまで見直してきましたが、土曜(に起きたパンク)を受けてタイヤの使用方法も含めてヨコハマさんの許容する希望値に戻していたんですが……。
ドイツ側のエンジニアもSUPER GTを1年経験して、今はチームとの連携がうまく取れるようになってきています。彼らはサーキットを理解してきているし、タイヤも理解している。そこは良いんですけど、同じタイヤだと次戦オートポリスも不安が残りますね。
(オリンピックを終えて)2戦ぶりにチームに復帰しましたが、依然として性能調整はやはり上手くいっていないですね。ウエイトを積んでても速いクルマはあるなあって。そのなかでもうちが良い戦いが出来ているのは、AMGのエンジニアの日本のレースへの理解度が上がり、ドイツのセッティングデータが活きてきているからで、この結果取りこぼしが減ってきました。タイヤの摩耗はもちろん、あらゆる部分をコントロールして、現在の状況でベストの予選順位でスタート出来たと思います。やっぱりSUGOは抜けないんで前に居ないと。ミニマム(ピットイン)の選択も作戦どおりでした。レースペースも、とびきり速いというわけではないけれどハイレベルで安定していました。『ノーポイントだけはしたくない』って思ってたんだけど今回はパンクだし”しょうがない”とは言え、トップとのポイント差が接近していただけに痛いですね。。。
ここ数戦、調子が良さそうに見えているでしょうし、我々もちょっと良いところを走れてレース出来ている感じですが、でもやっぱりすぐそばに”パンク”がいるんだな、っていうことを改めて認識させられましたね。今の状況で予選7番手はまずまずの場所だったし、作戦も上手くいってレース後半には3番手にいられて、やる気満々のドライブをしてたんですけどね……。担当の周回数も長いので、いろいろなものを自分の中で計算しながらマネジメントして。前2台は実力で追うのは厳しいので、まずは背後の60号車を抑え切ろう……と思っていたらSC明けですぐパンク。1コーナーのブレーキングから逝っちゃって。昨日のFCYテスト中の同じタイヤのパンクのこともあり、タイヤメーカーの推奨どおり(パンクの原因だと考えられていた)キャンバー角も減らしましたけど、それでもダメでしたね。
決勝スタートしてパンクするまでは、それなりにやるべきレースができていて、表彰台が見えていた。土曜のパンクからタイヤ負荷が減るようなセットアップで対策したんですが、まだ足りなかったのか。クルマが速くなって来たことによってタイヤ側への負荷が増えてしまったのか、原因追求と解決策を考えないといけないですね。ただ、タイヤの負荷を減らすということはパフォーマンスは下がるので、なかなか難しいところです。本当にそういう繊細な領域にいるとすると、セットアップは悩みますよね。SUGOは左フロントの荷重が大きいなど負担や要因があったとは思うんですけど、あまりここでパンクするイメージはなかった。セットアップをいろいろとやって来て、良くなった分のネガがここに出ちゃったのかな。