ウォームアップ走行が終わるころ、サーキット上空からポツポツと雨粒が落ちてきた。
次第に雨脚は強くなり、グリッドでのスタート進行が始まるころにはウェットタイヤが必要なほどではないが、路面が濡れてきていた。
しかし、スタートが近づくにつれ空は明るくなり強い日差しが降り注ぎはじめた。
14:00から静岡県警のパトカーと白バイの先導によるパレードラップが開始された。
路面が濡れていた為、ペースが遅く、フォーメーションラップが1周追加されることとなった。
2周のフォーメーションラップを終えレースがスタート。
4号車グッドスマイル 初音ミク AMGのスタートを担当する片岡選手はオープニングラップで前の61号車のオーバーテイクを狙うが追い抜きには至らず3番手をキープしてホームストレートに戻ってきた。
2周目以降もあらゆるコーナーでオーバーテイクを狙うが、61号車の必死のディフェンスでなかなか抜けず、その間にポールポジションスタートの65号車は61号車とのギャップを広げていく。
6周目の最終パナソニックコーナーで遂にオーバーテイクに成功し2番手に浮上。
その時65号車は既に7秒先を走っており、4号車を上回るペースで走行していた。4号車も61号車とのギャップを徐々に広げながらラップを重ねるが、前を行く65号車との距離も開いていく。
しかし17周目、65号車が突然右フロントから白煙を上げながらピットロードに飛び込んできた。ピットでタイヤ交換を試みるが、ホイールナットにトラブルがあったようでホイールが外れず、タイヤ交換が出来ずにそのままリタイアすることとなった。
トップのマシンがいなくなったことで、ここから4号車が先頭となり独走状態でレースが進んでいく。
26周目に1回目のピットイン。谷口選手へのドライバー交代と、給油、タイヤ4輪交換をすませ、ピット1回消化組のトップでコースへと戻る。
谷口選手が後続を離すハイペースで周回していく中、実質2番手にいた10号車が38周目にピットに入るが、マシントラブルによりピットから出れずピット内での作業に入り戦線を離脱する。
その次に直後を走行していた55号車もトラブルでスロー走行を余儀なくされるなど、上位陣に次々とトラブルが発生していく。
55周目、55号車が再びスロー走行になり、そのまま300Rのコース脇に停車してしまった為、今大会初のFCYが導入され停止車両の回収作業が行われる。87号車はたまたまそのタイミングでピットに入っていた為に順位を2位に上げるが、それでも4号車からのギャップは充分。
61周目、2回目のピットイン。ふたたび片岡選手にドライバー交代し、タイヤ4輪交換、給油を行い、ピットアウト。
2回目のピット義務を終えたマシンでトップのポジションをキープしたままコースへと戻る。2番手の10号車とのギャップは10秒あり、片岡選手はタイヤを労わる事を優先にペースをコントロールし、トップ独走のままチェッカーを目指す。
しかし77周目、片岡選手からタイヤトラブルを知らせる悲痛な無線が入る。1コーナーブレーキングで痛恨のパンク。すぐにでもピットへと戻りたいが、マシンにダメージを与えないようにスロー走行で戻る。おかげでマシンへのダメージは無い状態でコースへと復帰できたが、無念の14番手まで後退することとなった。
90周目にチェッカーを受けることは出来たが、2017年以来の優勝に手が届きかけていただけに、これ以上ないほど悔しいレースとなった。
